Posted by 新矢晋 - 2012.12.27,Thu
ロナ主でクリスマス。
ウサミミさん視点なので恋は盲目で美化が激しいです。
ウサミミさん視点なので恋は盲目で美化が激しいです。
俺がサンタにキッスした
寒さも厳しくなってきた冬のある日、ソファーに座って温かいマグカップを両手で包み暖をとっている俺の隣に腰掛けた彼は、ひょいと俺の顔を覗き込んだ。
「湖宵くんはサンタクロースに何をお願いするんだ?」
不意に投げ掛けられたのはそんな問いで、俺は顔をしかめてココアを舐めた。
「湖宵くんはとてもいい子だから、きっとサンタクロースがプレゼントを持ってきてくれるぞ」
「……ロナウド、あのね、」
口を挟もうとした俺の言葉を遮って、彼は、俺の大事な恋人栗木ロナウド現役刑事は、可愛らしいクリスマス柄のレターセットを取り出した。
「さあ、何が欲しいか手紙を書くんだ!俺が責任を持ってサンタクロースに届けるぞっ」
突っ込むべきところはいくらでも、俺はもうサンタクロースにプレゼントをもらうような子供じゃないし、そのプレゼントの出所も知っているし、仮に百歩譲ってサンタクロースがいたとしてなんでロナウドが手紙を届けられるのか。サンタクロースは警察官かブラジル人なのか。
ココアを舐めながら少し考えて、ちらりとロナウドの様子を窺ったらわくわくした子供のような顔をしているから、俺は仕方ないなあとそのレターセットを取り上げた。
「今夜にでも書いておくよ、しっかり届けてね」
「ああ、任せろ!」
ご機嫌なロナウドは、恐らく俺の恋人として素敵なクリスマスを演出しようと張り切っているのだろう。その張り切りがバレバレ故にサプライズとしては失敗している感があるが、ああ、この空回りが愛しくて仕方ないから末期だ。
……その夜、仕事柄早く休んだロナウドをよそにリビングでホットミルクを飲みながらレターセットと向かい合う俺が、ゲーム機、音楽プレイヤー、洋服……色黒のサンタクロースにおねだりするに相応しいプレゼントを考え始めてから三十分が経過していた。
あんまり高価なものは悪いし、かといって安っぽすぎるのも考えものだ。俺はロナウドに子供扱いされないよう必死で頭を捻って、でも結局は思い付かなくて、サンタクロースが本当にいるならお願いしたかった事を可愛らしい便箋に書いていた。
……ロナウドがこれを読むだろう事を考えると気恥ずかしいを通りすぎて羞恥プレイのような気もするが、これを読んで少しでも考えてくれたら嬉しいような、そんな気持ちで俺は封筒に封をした。
---------------------------------------------------------------
サンタさん、サンタさん、俺はロナウドが欲しいです。
サンタさん、サンタさん、一日だけでいいからロナウドを独り占めしたいです。
---------------------------------------------------------------
それからというものロナウドは仕事以外の「何か」の準備で忙しそうにしていて、俺はそんなロナウドの様子に気付かないふりをしながらわくわくと胸を期待に膨らませていて、いよいよクリスマスイブの夜が来た。不自然なくらい俺を急かす彼に追われるがままベッドに入った俺は、きつく目を閉じてなんだか遠足の前日みたいで、うつらうつらと時間をかけて眠りへと落ちていったのだった……。
物音が聞こえた気がした。
すう、と冷たい風が頬を撫でてゆく感触に寝返りを打ってそっと薄目を開いた俺は、室内で動く大きな人影に思わず吹き出した。
「?!……こ、湖宵くん、起こしてしまったか……」
刑事の癖にまるで泥棒みたいな忍び足で歩いていたロナウドは、そろそろとベッドに近付いてきて俺の額にキスをした。
「メリークリスマス、湖宵くん。……サンタクロースに連れてこられてしまったよ、はは」
白々しく笑うロナウドを見ていると、なんだか愛しくてむずむずするみたいで、俺はもたもたと手を伸ばしてロナウドへしがみついた。
「サンタさん、ロナウド連れてきてくれたんだ……すごいね」
「ああ、サンタクロースだからな!お陰でクリスマスは休みだから、一日湖宵くんと過ごせるぞ」
自分があの便箋に書いたおねだりを思い出して、俺の胸がきゅうっと締め付けられる。「サンタクロース」は、俺の望みを叶えてくれたのだ。
「……ありがと、ロナウド……大好き」
「ふふ、お礼はサンタクロースに言わないとな、……俺も湖宵くんが大好きだぞ」
ロナウドの首からぶら下がるようにしがみつく俺の背を撫でる大きな手。その夜俺はロナウドの腕の中で、今年のクリスマスが素敵なものになる確信に胸を膨らませながら再びの眠りについたのだった。
そして夜は明け、クリスマス当日。
目覚めた俺がリビングへ出ると既にロナウドが起きていて、遅めの朝食を用意してくれていた。
だが、朝食というにはいささか豪勢すぎる。……テーブルの真ん中にどーんと鎮座しているクリスマスクリスマスしたデコレーションケーキ、何号サイズだろう。
「おはようっ湖宵くん!クリスマスだぞ!」
「う、うん、メリークリスマス」
俺の姿に気付いたロナウドは嬉しそうに俺を椅子に座らせて、飲み物を何にするか訊いてきたり、ケーキナイフを取ってきたりと忙しい。
「ほら、サンタさんのところは湖宵くんが食べるといい」
ケーキの砂糖飾りののった分を俺に取り分けたロナウドは、うきうきとキッチンへと姿を消したかと思うと今度は大きなローストチキンを持って戻ってきた。
「そんなのいつの間に用意してたの……」
「ん?何日か前から下ごしらえを、じゃなくて!サンタクロースの魔法だ!」
慌てて彼なりの設定を維持しようとするロナウドに、全部わかってるよって言ってあげたいような、もう少し付き合っていたいような、平たく言うと俺はこの人が大好きだなあって思い知る。
ナイフとフォークで切り分けたチキンにグレイビーソースをかけて。ソースも手作りみたいで、ほんと、俺の為にここまでしてくれたと思うと胸が苦しい。
美味しいよ、って言ったら嬉しそうにどんどんチキンやサラダを取り分けてくるロナウドの笑顔だけでお腹一杯になりそうだ。
……というか、俺、起き抜けだ。
「ロナウドも食べなよ、ほら」
あーん、とフォークに刺したチキンを差し出すと、一気に頬を染め上げてそれでも素直に口を開いてくれる愛らしさは俺しか知らないし、誰かに話したところで同意も得られないだろうけどそれでいい。
美味しいご馳走と美味しいケーキ、大好きな人と過ごすクリスマス。食事を終えて、二人並んでソファーに腰掛け互いのぬくもりを感じるだけでこんなに幸せになれるなんて、魔法みたいな奇跡。
俺のサンタクロースはこの人だけ。この人だけが、俺に魔法をかけてくれるのだ。
「……あ、ちょっと待ってて」
大事な事を思い出した俺は、ロナウドの胸に預けていた頭を持ち上げソファーから抜け出して自分の部屋へと向かった。
中から扉を閉め、ベッドの下から大きな紙袋を引っ張り出す。……俺だって、ロナウドを喜ばせる為に準備はしていたんだ。きっと仕事だろうと思っていたから、大したことではないけれど。
俺は紙袋の中身を取り出して眺めると、意を決して最後の準備に取りかかった。
数分後。
「ロナウド、メリークリスマス!」
サンタクロースの衣装、それもあえてズボンを外したミニのワンピーススタイルでリビングに再登場した俺を、ロナウドはぽかんと口を開けて見詰めた。……滑ったか。ロナウドはこういうの好きだと思ったんだけど、ちょっとはしゃぎすぎたかもしれない。
「えっと……ちゃんとプレゼントもあるよ!こっちは普通だから!」
俺が差し出したプレゼントの箱をロナウドはなんだか上の空で受け取り、それから俺の方を見ないようにしながら早口に言う。
「湖宵くんっ、その、とても可愛らしいとは思うが、ズボンを履いてくれないか……」
目のやり場に困る、と呟いたロナウドの耳が染まっているのに気付いた俺は内心ガッツポーズをしたが、表面ばかりはしおらしく部屋に戻ってズボンを履いてきた。それを見てほっとした様子のロナウドは、どこか言い訳がましく、男の子でも下半身を冷やしちゃいけないとか扇情的すぎるのはよくないとかもごもご言いながらプレゼントを開封した。
「これは……湖宵くん、こんないいもの、高かったんじゃないか?」
──うん、バイト代丸々一月分くらい突っ込んだ。
とは言えないから、誤魔化す笑みを浮かべながら小首を傾げてみせる。
「ほら、普段使いするものだし、ちゃんとしたのがいいかなって。……趣味じゃなかった?」
まじまじと箱の中を見下ろしていたロナウドは、慌てて頭を振った。
「いやっ、すごく俺の好みだ!肌身離さず身に付けさせてもらうぞ!」
ロナウドは嬉しそうに俺のプレゼント、今冬モデルの腕時計を手首に巻く。ちょっと照れ臭そうにポーズを決める彼は誰より可愛くって、俺は幸せで胸がほくほくして緩む頬を隠せないもんだから、手で口元を隠しふにゃふにゃと笑った。
「ありがとう湖宵くん、こんなに嬉しいクリスマスプレゼントは久し振りだ。……こんなに可愛いサンタさんも初めて見た」
ロナウドの大きな手が少し癖のある俺の髪をわしわしと撫でる。それから、軽く引き寄せられて彼の腕の中におさまった俺の耳元で囁く声にどきりとした。
「……プレゼントにサンタさんはついてこないのか?」
「あ、」
ロナウドが何を求めているかなんて、確認するまでもない。
「ロナウドが欲しいなら……サンタもついてくる、よ」
頬が熱い。その熱い頬に降ってきたキスのかさついた感触に、俺はたとえようもない幸福を感じたのだ。
《終》
寒さも厳しくなってきた冬のある日、ソファーに座って温かいマグカップを両手で包み暖をとっている俺の隣に腰掛けた彼は、ひょいと俺の顔を覗き込んだ。
「湖宵くんはサンタクロースに何をお願いするんだ?」
不意に投げ掛けられたのはそんな問いで、俺は顔をしかめてココアを舐めた。
「湖宵くんはとてもいい子だから、きっとサンタクロースがプレゼントを持ってきてくれるぞ」
「……ロナウド、あのね、」
口を挟もうとした俺の言葉を遮って、彼は、俺の大事な恋人栗木ロナウド現役刑事は、可愛らしいクリスマス柄のレターセットを取り出した。
「さあ、何が欲しいか手紙を書くんだ!俺が責任を持ってサンタクロースに届けるぞっ」
突っ込むべきところはいくらでも、俺はもうサンタクロースにプレゼントをもらうような子供じゃないし、そのプレゼントの出所も知っているし、仮に百歩譲ってサンタクロースがいたとしてなんでロナウドが手紙を届けられるのか。サンタクロースは警察官かブラジル人なのか。
ココアを舐めながら少し考えて、ちらりとロナウドの様子を窺ったらわくわくした子供のような顔をしているから、俺は仕方ないなあとそのレターセットを取り上げた。
「今夜にでも書いておくよ、しっかり届けてね」
「ああ、任せろ!」
ご機嫌なロナウドは、恐らく俺の恋人として素敵なクリスマスを演出しようと張り切っているのだろう。その張り切りがバレバレ故にサプライズとしては失敗している感があるが、ああ、この空回りが愛しくて仕方ないから末期だ。
……その夜、仕事柄早く休んだロナウドをよそにリビングでホットミルクを飲みながらレターセットと向かい合う俺が、ゲーム機、音楽プレイヤー、洋服……色黒のサンタクロースにおねだりするに相応しいプレゼントを考え始めてから三十分が経過していた。
あんまり高価なものは悪いし、かといって安っぽすぎるのも考えものだ。俺はロナウドに子供扱いされないよう必死で頭を捻って、でも結局は思い付かなくて、サンタクロースが本当にいるならお願いしたかった事を可愛らしい便箋に書いていた。
……ロナウドがこれを読むだろう事を考えると気恥ずかしいを通りすぎて羞恥プレイのような気もするが、これを読んで少しでも考えてくれたら嬉しいような、そんな気持ちで俺は封筒に封をした。
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サンタさん、サンタさん、俺はロナウドが欲しいです。
サンタさん、サンタさん、一日だけでいいからロナウドを独り占めしたいです。
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それからというものロナウドは仕事以外の「何か」の準備で忙しそうにしていて、俺はそんなロナウドの様子に気付かないふりをしながらわくわくと胸を期待に膨らませていて、いよいよクリスマスイブの夜が来た。不自然なくらい俺を急かす彼に追われるがままベッドに入った俺は、きつく目を閉じてなんだか遠足の前日みたいで、うつらうつらと時間をかけて眠りへと落ちていったのだった……。
物音が聞こえた気がした。
すう、と冷たい風が頬を撫でてゆく感触に寝返りを打ってそっと薄目を開いた俺は、室内で動く大きな人影に思わず吹き出した。
「?!……こ、湖宵くん、起こしてしまったか……」
刑事の癖にまるで泥棒みたいな忍び足で歩いていたロナウドは、そろそろとベッドに近付いてきて俺の額にキスをした。
「メリークリスマス、湖宵くん。……サンタクロースに連れてこられてしまったよ、はは」
白々しく笑うロナウドを見ていると、なんだか愛しくてむずむずするみたいで、俺はもたもたと手を伸ばしてロナウドへしがみついた。
「サンタさん、ロナウド連れてきてくれたんだ……すごいね」
「ああ、サンタクロースだからな!お陰でクリスマスは休みだから、一日湖宵くんと過ごせるぞ」
自分があの便箋に書いたおねだりを思い出して、俺の胸がきゅうっと締め付けられる。「サンタクロース」は、俺の望みを叶えてくれたのだ。
「……ありがと、ロナウド……大好き」
「ふふ、お礼はサンタクロースに言わないとな、……俺も湖宵くんが大好きだぞ」
ロナウドの首からぶら下がるようにしがみつく俺の背を撫でる大きな手。その夜俺はロナウドの腕の中で、今年のクリスマスが素敵なものになる確信に胸を膨らませながら再びの眠りについたのだった。
そして夜は明け、クリスマス当日。
目覚めた俺がリビングへ出ると既にロナウドが起きていて、遅めの朝食を用意してくれていた。
だが、朝食というにはいささか豪勢すぎる。……テーブルの真ん中にどーんと鎮座しているクリスマスクリスマスしたデコレーションケーキ、何号サイズだろう。
「おはようっ湖宵くん!クリスマスだぞ!」
「う、うん、メリークリスマス」
俺の姿に気付いたロナウドは嬉しそうに俺を椅子に座らせて、飲み物を何にするか訊いてきたり、ケーキナイフを取ってきたりと忙しい。
「ほら、サンタさんのところは湖宵くんが食べるといい」
ケーキの砂糖飾りののった分を俺に取り分けたロナウドは、うきうきとキッチンへと姿を消したかと思うと今度は大きなローストチキンを持って戻ってきた。
「そんなのいつの間に用意してたの……」
「ん?何日か前から下ごしらえを、じゃなくて!サンタクロースの魔法だ!」
慌てて彼なりの設定を維持しようとするロナウドに、全部わかってるよって言ってあげたいような、もう少し付き合っていたいような、平たく言うと俺はこの人が大好きだなあって思い知る。
ナイフとフォークで切り分けたチキンにグレイビーソースをかけて。ソースも手作りみたいで、ほんと、俺の為にここまでしてくれたと思うと胸が苦しい。
美味しいよ、って言ったら嬉しそうにどんどんチキンやサラダを取り分けてくるロナウドの笑顔だけでお腹一杯になりそうだ。
……というか、俺、起き抜けだ。
「ロナウドも食べなよ、ほら」
あーん、とフォークに刺したチキンを差し出すと、一気に頬を染め上げてそれでも素直に口を開いてくれる愛らしさは俺しか知らないし、誰かに話したところで同意も得られないだろうけどそれでいい。
美味しいご馳走と美味しいケーキ、大好きな人と過ごすクリスマス。食事を終えて、二人並んでソファーに腰掛け互いのぬくもりを感じるだけでこんなに幸せになれるなんて、魔法みたいな奇跡。
俺のサンタクロースはこの人だけ。この人だけが、俺に魔法をかけてくれるのだ。
「……あ、ちょっと待ってて」
大事な事を思い出した俺は、ロナウドの胸に預けていた頭を持ち上げソファーから抜け出して自分の部屋へと向かった。
中から扉を閉め、ベッドの下から大きな紙袋を引っ張り出す。……俺だって、ロナウドを喜ばせる為に準備はしていたんだ。きっと仕事だろうと思っていたから、大したことではないけれど。
俺は紙袋の中身を取り出して眺めると、意を決して最後の準備に取りかかった。
数分後。
「ロナウド、メリークリスマス!」
サンタクロースの衣装、それもあえてズボンを外したミニのワンピーススタイルでリビングに再登場した俺を、ロナウドはぽかんと口を開けて見詰めた。……滑ったか。ロナウドはこういうの好きだと思ったんだけど、ちょっとはしゃぎすぎたかもしれない。
「えっと……ちゃんとプレゼントもあるよ!こっちは普通だから!」
俺が差し出したプレゼントの箱をロナウドはなんだか上の空で受け取り、それから俺の方を見ないようにしながら早口に言う。
「湖宵くんっ、その、とても可愛らしいとは思うが、ズボンを履いてくれないか……」
目のやり場に困る、と呟いたロナウドの耳が染まっているのに気付いた俺は内心ガッツポーズをしたが、表面ばかりはしおらしく部屋に戻ってズボンを履いてきた。それを見てほっとした様子のロナウドは、どこか言い訳がましく、男の子でも下半身を冷やしちゃいけないとか扇情的すぎるのはよくないとかもごもご言いながらプレゼントを開封した。
「これは……湖宵くん、こんないいもの、高かったんじゃないか?」
──うん、バイト代丸々一月分くらい突っ込んだ。
とは言えないから、誤魔化す笑みを浮かべながら小首を傾げてみせる。
「ほら、普段使いするものだし、ちゃんとしたのがいいかなって。……趣味じゃなかった?」
まじまじと箱の中を見下ろしていたロナウドは、慌てて頭を振った。
「いやっ、すごく俺の好みだ!肌身離さず身に付けさせてもらうぞ!」
ロナウドは嬉しそうに俺のプレゼント、今冬モデルの腕時計を手首に巻く。ちょっと照れ臭そうにポーズを決める彼は誰より可愛くって、俺は幸せで胸がほくほくして緩む頬を隠せないもんだから、手で口元を隠しふにゃふにゃと笑った。
「ありがとう湖宵くん、こんなに嬉しいクリスマスプレゼントは久し振りだ。……こんなに可愛いサンタさんも初めて見た」
ロナウドの大きな手が少し癖のある俺の髪をわしわしと撫でる。それから、軽く引き寄せられて彼の腕の中におさまった俺の耳元で囁く声にどきりとした。
「……プレゼントにサンタさんはついてこないのか?」
「あ、」
ロナウドが何を求めているかなんて、確認するまでもない。
「ロナウドが欲しいなら……サンタもついてくる、よ」
頬が熱い。その熱い頬に降ってきたキスのかさついた感触に、俺はたとえようもない幸福を感じたのだ。
《終》
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