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Posted by 新矢晋 - 2012.06.29,Fri
回帰後、既に出来上がっているロナ主が一緒にお風呂に入る話。
R15あるかないかくらいの描写がありますのでご注意下さい。

焦れる兎は何見て跳ねる


 さて、この愛すべき朴念仁をどうやってその気にしたものか。


 俺とロナウドは恋人同士、なのだ。多分。
 ハグもキスも済ませたし、家の合鍵だって貰ったし、今もこうしてロナウド宅でだらーっと寝転がれるくらいには気のおけない間柄だ。
 しかし、最後の一線が、まだ越えられていない。
 ……別に、どうしても肉体関係が必要なわけではない。俺たちは同性だし、セックスを伴わない関係だってアリだろう。
 だが。
 しかし。
 ぶっちゃけ俺は若くて健康な男子であり、ロナウドに惚れてからは他の女にも男にも手を出さなかった現在、激しく、欲求不満なのである。
 悶々としながら床の上を転がってロナウドの方へ寄ってみる。彼はくすくすと笑うと俺の頭を撫でた。
「……ロナウド」
 俺は精一杯甘えるような声を出すと、ロナウドの足の上によじ登る。ぴったりと密着しても残念ながら俺には押し付ける胸は無いが、互いの体温を意識させるくらいは出来る。しかしながらロナウドは、
「どうした湖宵くん、寒いのか?」
 この言い種である。
 俺の頭をわしわしと撫でる仕草は犬猫にするみたいで、俺は内心溜め息を吐いたが諦めない。ロナウドにぴったりくっついたまま、上目遣いに顔を覗き込む。
「うん、ちょっと寒いかな……ロナウド、温めて」
「え、ああ……」
 少し戸惑いながらもロナウドは俺を両腕で包むように抱き締めた。とんとんと背中を叩く手が、子供を寝かしつけるみたいでなんというか色気は無い。
「……違う」
「何か言ったか?」
 確かにこれも嬉しい。ロナウドが俺を子供扱いするのは昨日今日に始まった事ではないし、こうして可愛がられるのも悪い気はしない。
 ……悪い気はしないが、こう、物足りない。
「これじゃ足りないから、もっと……」
 顔をぐいと近付け囁くと、ロナウドは何かに思い至ったような顔をして俺の頬に触れた。
「ああそうだな、気付かなくてすまない。もっと温まれる事をしようか」
 どきり、と俺の心臓が鳴った。


「……何でこうなるの」
「どうした湖宵くん」
「べっつにー」
 浴槽の縁に手と顎を乗せ、頭を洗うロナウドをぼんやりと眺める。「熱い風呂に入って温まろう!」なんて、まさかそんな提案をされるとは予想外すぎた。
 ……しかしロナウドの裸をこうしてじっくり見るなんて初めてだ。やっぱり筋肉ついてるな、俺ももうちょい鍛えるか、なんて考えていたら目が合ってしまったので笑って誤魔化す。ロナウドも表情を緩めた後、シャンプーボトル片手に俺を呼んだ。
「湖宵くんもおいで、髪を洗ってあげよう」
 ……。
「ロナウド、俺のこと何歳だと思ってるの」
「十九だよな?」
「わかっててそれなんだ……」
「駄目か?……そうか、そうだな湖宵くんも子供じゃないもんな」
 しょんぼりとボトルを棚に戻すロナウドの頭に、無い筈の犬耳が見える。時々これわざとやってるんじゃないかと思うけど、ああ、仕方ないなあもう!どうせ今日も一線は越えられそうにないのだ、目一杯甘えて甘やかされてやる。
 湯船からあがって、ロナウドに背を向けて膝をつく。洗って下さいな美容師さん、と軽口を叩くと嬉しそうにシャワーの蛇口を捻るのが見えた。
 ……俺の髪を鋤き、頭皮を揉む指先は案外優しい。それこそ美容室でシャンプーされる時みたいに気持ちよくて、俺は目を閉じ溜め息を吐いた。
 ――次は身体を洗ってあげようなんて言われちゃったりして、おや湖宵くんここをこんなに腫らしてどうしたんだとか、もっと奥まで洗ってあげようなとか、こんなところですまないとか言いつつ激しく、こう、俺は全然オッケーなんだよ?!
 まあ、当然俺のそんな妄想が実現する筈も無く、耳の後ろまで綺麗に洗った後ロナウドは先に湯船へと入った。
 俺は身体を洗いながら頭の中で円周率を暗唱し、果ては母さんの裸を想像して、何とか自分を萎えさせる事に成功したのだが。
「湖宵くんもちゃんと浸からないと温まらないぞ。湯冷めしたら大変だ、狭くてすまんが一緒に浸かろう」
 湯船でロナウドが俺を呼んでいる。……ちょっと待てそれは本気か。ごく普通の単身者向けの風呂場に備え付けられている浴槽は、当然ながら複数人が同時に入る事なんて想定していない。ロナウド一人でもゆったりとは使えないのに、二人で入ったりなんかしたら色んなところが密着したり密着したり密着したりしてしまう。
 ロナウドは意識していないみたいだから良いだろうが、俺は無理だ。うっかり前が反応しちゃったりなんかしたら居たたまれなさすぎる。
「ロナウド、俺は……」
 やめとくよ、と言おうとして見たロナウドの顔はいつもと同じ人畜無害そうなイケメン面で何だか腹が立つ。
「どうした?ほら、足の間に座るといい」
 そしてロナウドの、本当に、まったく、下心など微塵も無い誘いに、煩悩まみれの俺は容易く陥落したのだった。
 ――しまった生殺しだ!
 ロナウドの体温を背中に感じながら、俺はちっともリラックス出来ずに湯船の中で身を縮こまらせていた。
 腹の前にロナウドが手を置いているものだから、離れる事も出来ない。もぞもぞと落ち着かない俺の髪を指で鋤きながら、彼はしみじみと呟いた。
「湖宵くんの背中はすべすべしていてキレイだな」
「ひっ?!」
 不意にごつごつとした指が首筋に触れ、変な声が出てしまう。慌てて手を引っ込めたロナウドは、すまない嫌だったか、とかなんとか言っていたけれど嫌じゃない。嫌じゃないから問題なのだ。
「……ロナウドのばか」
「え?」
「何でもない、俺もうあがるね」
 俺は前を隠しながらそそくさと風呂場を出て服を着る。……触れられた箇所がまだ熱い気がした。


 ――駄目だ、ムラムラする。
 冷たい水を飲んでみたがその程度ではおさまらず、遅れて風呂場から出てきたロナウドの顔をまともに見る事も出来なくなった俺は、撤退を決意した。
「もう帰るのか?今日は泊まっていくって……」
 こんな状態でロナウドと一つ屋根の下過ごすなんて、拷問以外の何物でもない。俺は適当に彼をあしらいながら玄関へと向かったが、不意に手を掴まれる。
「俺はまた何か君にけ、けーわい?な事をしてしまったのか?……俺に悪いところがあったなら言ってほしい」
 ロナウドは真剣な顔で俺を見ていて、その眼差しが真っ直ぐすぎて、俺は逃げ出すことさえ出来ない。
 ――まったく、参った。
「ロナウドが、俺を抱いてくれるなら泊まる」
 こんなの開き直りですらない。拗ねた口振りで言い放った俺に、ロナウドは一瞬固まった後慌てた様子で説得し始めた。
「何を言い出すんだ湖宵くんっ、君はまだ未成年なんだぞ!そんな、抱くとか抱かれるとか、自分を粗末にするもんじゃない!」
「粗末になんかしてない!俺はロナウドに抱かれたいんだ、恋人同士なんだからそう思うのは当たり前だろ?!」
「それはそうかもしれないが……しかし、」
 顔を真っ赤にしながらも懸命に俺を宥めすかすロナウドを見ていると、俺が人並み外れて性欲旺盛みたいな気になってくるが、そんな事は無い。と思う。未成年といったって十八は越えたわけで、俺に手を出してもロナウドが罪に問われる事は無い筈だ。愛し合う者同士がセックスする事に何の問題があるだろう。俺は妊娠もしないのに。
「とにかく、俺は未成年に手を出す事は出来ない。わかってくれ湖宵くん……」
 途方にくれたように眉を下げて懇願するロナウドを見ていると、俺が悪者のような気がしてくるから困る。……俺はそんなに無茶を言っているだろうか。半ばやけくそになってきた俺は、言葉を取り繕うのも面倒で。
「……わかった。じゃあお店でなんとかする」
「店?」
「プロ相手なら浮気にはならないよね?そういうお店で抜いてもらってくる」
「な?!」
 ロナウドの顔色が変わり、俺の両肩を掴む。
「未成年が風俗だなんてっ、何を考えてるんだ?!」
「ロナウドがしてくれないからだろ!俺だって色々限界なんだ!」
「……ッ、わかった!俺が抜く!湖宵くんが溜まっているのは俺の責任でもあるのだから俺が処理する、だから風俗なんかに行かないでくれ!」
 ――何だこの展開。
 そのまま玄関先で俺を押し倒したロナウドは、多分色々テンパってしまって自らの行動を顧みる余裕も無いのだろう。未成年のズボンを脱がせ、未成年の股間をさするのは彼的にセーフなのだろうか。
 そんな事とは関係無く俺の息子は元気に反応して、下着を持ち上げている。ロナウドはごくりと唾を飲み込んでから、下着をずらして直接俺のモノを握り込んだ。

 ――一瞬だった。

 ロナウドに触れられていると思ったら、ほとんど扱かない内に俺は絶頂を迎えてしまい、溜まっていたものを全部絞り出されるまでまるで抱かれているみたいにあんあん言っていた気がする。
「湖宵くん、すっきりしたか……?」
「ん……」
 しおらしく頷く事しか出来ない俺は、ふと視界の端に見えたものから視線が逸らせなくなり、ロナウドも俺の視線に気付いて気まずげに身動ぎした。
 ぱんぱんに張り出したズボンの前。どう見ても勃起している。俺を見て興奮してくれたのだろうか、だったら嬉しい。
「ロナウド、それ……その、俺がしようか?」
「え、」
「お返し。俺の、ロナウドが抜いてくれたし……今度は俺が」
 ズボンを脱がせにかかっても、ロナウドは抵抗しなかった。下着の中から現れたものはなんというかとてもご立派で、俺は何だかどきどきしてしまう。そっと両手で握り締めると、温かく脈打っていた。

 ――そして、これもあっという間だった。

 ロナウドは俺の手の中に呆気なく吐精し、少し呆然としていたが慌ててズボンを履き俺の服も整えさせた。……ここまでやったら最後までいっても大差無いような気がするが、ロナウドはどうあっても俺とする気はないみたいだ。
 俺の不満げな表情にしどろもどろになりながら言い訳するロナウドは、
「湖宵くん、その、だな。俺は君の身体に興味が無いわけではなくて……しかし未成年の身体にそんな、いかがわしい事をするわけにはいかんだろう。成長に悪影響があってもいけないし、だから、」
 俺を真っ直ぐ見詰めながら、真面目な顔かつ真剣な声で、
「以前から、湖宵くんの二十歳の誕生日に、湖宵くんを抱こうと思っていた」
 まさかの告白をした。
「えっ、……えっ、それって、その、来月……」
「ああ。ここまで来たらけじめをちゃんとつけておきたい、来月まで待ってくれないか」
 明確な期限を切られるなんて思ってもみなかったから、俺は思わず頷いていた。というか、誕生日に初えっちだなんてそんなロマンチックな事をロナウドが考えていたとは。
「こんな事を言ったら、まるで俺が君を抱く事ばかり考えているみたいだから、あまり言いたくなかったんだが……君を不安にさせてしまったみたいだからな」
 照れ隠しのように目を逸らして頭を掻くロナウドの腰に、俺は勢いよく抱き着いた。まったく、この人はどれだけ俺をどきどきさせれば気がすむんだろう。
「今日、やっぱり泊まる」
「そうか。プリンあるぞ」
「食べる」
 べたべたとロナウドにまとわりつきながらリビングまで戻った俺は、ロナウドが買っておいてくれた俺の一番好きなコンビニのプリンを食べて、一緒にヤンピョン読んで、一通りいちゃついた後に同じベッドで眠った。
 ――いつもなら、一切手を出してこないロナウドにやきもきしたり、ロナウドの体温や匂いにムラッときたりして大変なんだけど、この日はそんな事も無く。
「ロナウド」
「ん?」
「好き」
「……俺もだ」
 額に触れるだけの口付けが、とてもいとおしかった。


《終》

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