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Posted by 新矢晋 - 2012.05.11,Fri
恐らくは回帰した世界で、ごく普通(?)の恋人生活をする二人の話。
ロナウドが盛りのついた犬。

甘くて小さくて

 栗木ロナウドと神宮寺湖宵という少年は恋人同士である。
 年も、職業も、住む場所すら遠く離れた二人は何故か引かれあうように出会い、同性同士ということで紆余曲折はあったもののめでたく結ばれたのだった。
 東京の高校生であった少年が名古屋の大学に進学し、会う機会は増えたものの二人のすれ違いは多い。


 ――ある週末、久し振りに訪ねて来た少年を出迎えておいて、そう時間も経たないうちに受けた電話にロナウドは顔色を変えた。
「すまないコヨイくん!事件があったらしくて、俺は署に行かないと!鍵と財布はここに置いておくから、好きに過ごしてくれていいぞ!じゃあ!」
 嵐のように一方的に捲し立てた後、ロナウドは少年を家に残して出掛けて行った。
 取り残された少年は、しばらくしてからじわじわと寂しさや憤りに苛まれたが結局は「ロナウドだから仕方ない」と自分を納得させ、部屋の掃除などをして時間を潰していた。
 そしてそろそろサングラスの大物司会者がウキウキウォッチングし始める頃、インターホンが鳴らされた。来訪者の姿をモニターで確認した少年は、驚いた後に慌てて玄関の扉を開けた。
「暇もて余してると思ったから遊びに来てあげたわよ」
「ジュンゴもいるよ」
 久し振りに顔をあわせた友人たちは、コンビニで買い込んだらしき菓子を片手に部屋へと上がり込む。
 ……どうやら、少年が一人留守番している事を父親経由で知ったアイリが、ジュンゴも巻き込み様子を見に来てくれたらしい。
「ていうかアイツ何なわけ?なんでコヨイが来てるのに仕事優先してるの?ばかなの?」
「あはは……」
 ぷりぷりと湯気を出しながらポテチを摘まむアイリの隣で、ジュンゴも神妙に頷いている。
「コヨイ、ほんとはジュンゴたちより、ロナウドと一緒がいい。コヨイ、我慢してる?大丈夫?」
「何言ってんのよバカジュンゴ!あんなバカ刑事より、私たちと遊ぶ方が楽しいもん!絶対楽しいもん!」
 久し振りにアイリスマッシュがジュンゴの頭に叩き込まれるのを見て、少年は吹き出した。楽しそうに笑う少年につられてジュンゴも笑い、憮然としていたアイリも我慢できずに笑い出す。
 ――こうして三人は楽しい時間をすごし、日が暮れる頃にアイリとジュンゴを見送ってから少年は台所に立った。
 エプロンの紐を結びながら「新婚さんってこんな感じかな」などと考えてしまった少年は一人赤面しながらも危なげの無い手つきで晩御飯の用意に取り掛かり、丁度テーブルの準備をしたところで本来の家主が帰ってきたのだった。


「おかえり!」
 ぱたぱたと玄関へ出迎えに来た少年の姿を見たロナウドは、きょとんと瞬きをした後、相好を崩し少年の頭を撫でた。
「ただいま。……なんだか新婚みたいだな」
「ふふ、ご飯もできてるよ」
 手を引かれるままリビングへ連れられて、椅子に座らされたまま少年の背を眺めるロナウドの眼差しは穏やかだ。
 そこへ両手に皿を持って戻ってくる少年もまた、はにかむような喜ばしいような、満更でもない表情をしている。
 ――ハンバーグに、ニンジンのグラッセと、オニオンスープ。テーブルの上に並べられた料理たちにロナウドは歓声をあげて両手を合わせる。
「これはご馳走だな!さすがコヨイくん、いただきます!!」
 一口食べては誉めちぎり、ぺろりと少年の手料理を平らげたロナウドは、ソファーに二人並んで腰掛けながらしみじみと呟いた。
「俺は幸せ者だな、コヨイくんみたいないい子が恋人だなんて」
「へ、」
 裏返った声を出した少年の動揺に気付かず、自然な仕草でその肩に腕を回しながら、
「俺は今日だって君より仕事を優先するような男で、愛想尽かされたって仕方ないのに」
 ……顔を覗き込んで。
「君は、俺なんかと付き合っていて幸せか?」
 真っ直ぐ少年の目を見詰めるロナウドは真剣そのもので、少年はしばらく息も止めていたがじわじわと瞳を潤ませロナウドの襟を掴んだ。
「ばか!ロナウドのばか!俺はロナウドが好きなの、大好きなの!そりゃちょっと寂しい時もあるけど、幸せに決まってる!」
 ぽかぽかと殴りかかってくる少年をあしらい胸元に抱き締めながら、ロナウドは口元が緩むのを抑えられなかった。こめかみにそっと唇を寄せ、囁く。
「すまん、失言だった。……大好きだよ、コヨイくん」
「そんなので誤魔化されたりなんか、」
 少年の唇は言葉の途中で塞がれて、あやすように何度も啄まれては背中を擦られ腰を揉まれる。
「ろな、うど……ずるいっ」
「俺は大人だからずるいんだ」
 ソファーに押し付けられきつく喉元を吸い上げられて、思わず両手でロナウドへとすがりついてしまった少年は、くすくすと笑う彼を見上げて唇を尖らせる。
「……いっぱい気持ちよくしてくれないと、許さないから」
 ――それは精一杯の強がりではあったが、同時に最大の挑発でもある。
 ロナウドは唾を飲み込んでから、少年の身体に手を伸ばした。


「……悪い男に引っ掛かった感が半端ないよね」
 ロナウドの腕の中で溜め息混じりに呟いて、しかしその言葉とは裏腹に胸元へと頭を擦り寄せながら少年は目を閉じた。
「でも、好きなものは仕方ないし……ずっと前から、こことは違う世界で、ロナウドの事だけ見てた気がする」
 少年の髪に指を通しながら、ロナウドは柔らかく笑う。
「案外ロマンチストなんだな」
「今のはきゅんとするところ!もう!」
 くすくす笑いの振動が伝わる距離、抜け出そうにもがっちりと腰を抱かれた少年は溜め息を吐いてから小さく小さく囁いた。
「ばか、……好き」
「奇遇だな、俺もだ」
 聞き返す暇も無く口付けが降ってきて、少年はまたロナウドの腕の中で溺れた。


《終》

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